税務相談

手続き・届出

青色申告するためには、どんな手続きが必要ですか?

『所得税の青色申告承認申請書』に必要事項を記入し、3月15日までに所轄税務署に提出します。その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合は、その事業を開始した日から2ヶ月以内に提出します。
提出書類等はこちら

妻に事務・経理の仕事を任せたいが、給料を払って事業経費にすることは可能ですか?

家族に給料を支払ったとしても、家族間の金銭の移動にすぎず、事業の必要経費に算入することはできませんが、青色申告者の方は一定の手続きを行えば、その支払った金額を必要経費に算入することができます(青色事業専従者給与の特例)。
※ 但し、事業的規模でない不動産貸付業を営む方はこの適用を受けることはできません。
※ 白色申告の方には事業専従者控除の特例があります。
詳しくはこちら

今年の3月に事業主が死亡し、息子が後を継いで仕事をしているのですが、申告は例年通り翌年の3月に行えばいいのでしょうか?

年の中途で死亡した人の場合は、相続人が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。
準確定申告について、より詳しい内容はこちら

2月に引っ越しをしましたが、申告はどちらの所轄税務署で行うのでしょうか?また、届出は何か必要ですか?

所得税の確定申告書は、提出時の納税地を所轄する税務署長に提出することになっています。
※ 令和5年1月1日以降の納税地の異動または変更については、届出が不要となりました。
更に具体的な説明はこちら

昨年まとまった大きな仕事があり、3月の確定申告で高額な所得税の納税をしました。6月に税務署から予定納税の通知がきました。今年は昨年と違い特に大きな仕事もなく、納税が厳しい状況です。何か手続きによって考慮されないのでしょうか?

その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額を基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合、その年の所得税の一部をあらかじめ納付するという制度があります。この制度を予定納税といいます。
予定納税は予定納税基準額(一般的には前年分の所得税額)の3分の1を第1期として7月31日までに、第2期として11月30日までに納めることになっています。
その年の6月30日の状況で所得税の見積額が予定納税基準額よりも少なくなる人は、7月15日までに所轄の税務署長に「予定納税の減額申請書」を提出して承認されれば、予定納税は減額されます。なお、第2期分の予定納税だけの減額申請は11月15日までとなります。
(詳しい手続き方法などは申告会事務局まで)

必要経費

個別の事業所はなく、自宅兼事務所なのですが、電気代、インターネット接続料などは経費にしてもいいのでしょうか?また、接待交際費は全て経費にしてもいいのでしょうか?

以下、政令の定めによれば、業務遂行上直接必要であったことが明らかな部分がその支出した金額の50%を超えるか、50%未満でもその必要である部分が明らかに区分できる場合は、必要である部分に相当する金額を必要経費に算入してよいこととなります。

<参考法令>

  1. (1)令第96条第1号
  2. 《家事関連費》に規定する「主たる部分」又は同条第2号に規定する「業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分」は、業務の内容、経費の内容、家族及び使用人の構成、店舗併用の家屋その他の資産の利用状況等を総合勘案して判定する。
  3. (2)令第96条第1号に規定する「主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、その支出する金額のうち当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。
(このように、必要と認められた部分のみを抜き取ることを、『家事按分』と言いますが、具体的な按分例等は当会事務局までお問い合わせください。)

自動車を購入しましたが、事業用として使用するので経費に入れることが出来るのでしょうか?

事業などの業務のために用いられる建物や自動車は一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくべきものです。この使用可能期間に当たるものとして法定耐用年数が定められています。減価償却とは、減価償却資産の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続きです。
より詳しい内容はこちら

4月に開業しましたが、4月以前に支出した費用はどうやって経費に入れるのでしょうか?

開業費(繰延資産)として、その支出の効果が及ぶ期間を基礎として償却します。
開業費には、事業を開始するまでの間に特別に支出する広告宣伝費、接待費、旅費交通費、調査費などのほか、開業準備のために特に借り入れた負債の利子、土地、建物などの賃借料、開業準備のために消費された電気、ガス、水道料金などの費用がこれに含まれます。
開業費は原則として、60ヵ月均等償却を行いますが、それに替えて、任意償却を行うこともできます。
詳しい内容はこちら

中古の車を購入し事業用としていますが、減価償却費はどのように計算するのでしょうか?

中古資産を取得して事業の用に供した場合には、その資産の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、その事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数によることができます。
また、使用可能期間の見積りが困難であるときは、簡便法により算定した年数によることができます。
詳しくはこちら

不動産賃貸業を営んでいますが、大幅な修繕をしたため、高額な費用が発生しました。全て今年の経費にできるのでしょうか?

一の修理、改良等のために要した金額のうちに、資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額があり、その金額が次のいずれかに該当する場合には、その修理、改良等のために要した金額を、修繕費の額としてその業務に係る所得の金額を計算することが認められています。
  1. (1)その金額が60万円に満たない場合
  2. (2)その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前年12月31日における取得価額の概ね10%相当額以下である場合

尚、資本的支出と判定された場合の取得価額については特例等があり注意が必要です。詳しくは、当会事務局まで

税金の支払いは『租税公課』として必要経費にいれていいと聞きましたが、詳しく教えてください。

個人事業税、税込み経理方式における消費税・地方消費税、事業に使用している土地・建物の固定資産税、印紙税、各種取得税、自動車税などの税金は租税公課として必要経費に算入することができます。
所得税、住民税、相続税、国税の延滞税・地方税の延滞金は必要経費とはなりません。
詳しくはこちら

不動産賃貸業を営んでいますが、事業的規模とは何ですか。また、それに達しない規模の人は税務上の取り扱いで何か違う点などがあるのでしょうか?

1 事業的規模の判定

不動産などの貸付けによる所得は、不動産所得になります。
不動産所得は、その不動産貸付けが事業として行われている(事業的規模)かどうかによって、所得金額の計算上の取扱いが異なります。
不動産の貸付けが事業的規模 かどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているか どうかによって、実質的に判断します。
ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。
  1. (1)貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
  2. (2)独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。
事業的規模である場合とそれ以外の場合の所得金額の計算上の相違点のうち主なものは、こちら

記帳

普通預金口座はひとつしかなく、事業専用口座がないため、プライベートな用途の引落しが混じっていますが、どうしたらいいでしょうか?

個人事業者は、事業用資産と個人の資産が混在しているため、帳簿上の事業用資産を明確に区別しなければなりません。例題の普通預金がまさに混在した状態の資産ということになりますが、口座の残高を個人用と事業用に分けることはできませんから、事業用なのか、個人用なのかどちらかに決め、適正に記帳を行います。事業用とした場合のプライベートな用途の払出しは、『事業主貸』として記帳します。その逆に個人用とした場合の事業の経費を支払うための払出しは、『事業主借』として記帳します。
(詳しくは当会事務局まで)

開業時現金を差し入れて事業をスタートしましたが、資本金はいくらだと考えればいいですか?

まず、個人事業者において、資本金というものはありません。法人でいう資本金に相当するものを、『元入金』といいます。事業開始時の元入金の額は、原則として個人から差入れられた現金、普通預金や事業用固定資産の帳簿価額等の合計額が元入金として計上されます。(金融機関等からの借入金等がある場合は、資産の合計額から負債の額を差し引いた金額となります。)

売上は入金された時に計上しています。12月の仕事は1月に入金されますが、1月の売上でいいのでしょうか?

事業所得の収入金額は、その年において収入すべき金額です。また、このなかには金銭以外の物又は権利等が含まれます。その年において収入すべき金額とは、年末までに相手方に支払を請求することができることになった金額です。実際に請求したかどうかは関係ありません。これを発生主義といいます。例えば、その年の12月20日に商品を売って、その代金は年を越して翌年1月10日に受け取ったような場合には、商品を売った年の収入になるということです。
青色申告者は特段の届出をしない限り、原則発生主義による記帳を行います。これに反して、現金の入金や払出し時を基準に収入や費用の把握をすることを現金主義といいますが、現金主義の適用を受けるには一定の制限があります。

消費税の軽減税率制度が実施されましたが、帳簿の記帳はどんな点に気を付ければいいでしょうか?

令和元年10月1日から、消費税および地方消費税の税率が8パーセントから10パーセントへ引き上げられ、この税率引き上げと同時に消費税の軽減税率制度が実施されました。
標準税率は10パーセント(消費税率7.8パーセント、地方消費税率2.2パーセント)です。
軽減税率は8パーセント(消費税率6.24パーセント、地方消費税率1.76パーセント)です。

軽減税率の対象となる品目

    (1)飲食料品(酒類を除く)
    (2)新聞(定期購読契約に基づくもの)

帳簿および請求書等の記載と保存(区分記載請求書等保存方式)

    事業者は、消費税等の申告等を行うために、取引等を税率の異なるごとに区分して記帳するなどの経理(以下「区分経理」といいます。)を行う必要があります。
    消費税の仕入税額控除を適用するためには、こうした区分経理に対応した帳簿および請求書等(区分記載請求書等)の保存が要件となります(区分記載請求書等保存方式)。
    免税事業者であっても、課税事業者に軽減税率の対象となる商品を販売する場合、相手方から区分記載請求書等の交付を求められる場合があります。
令和5年10月1日からは、帳簿および税務署長に申請して登録を受けた課税事業者(適格請求書発行事業者)が交付する「適格請求書」(いわゆるインボイス)などの請求書等の保存が仕入税額控除の要件となります(適格請求書等保存方式)。

消費税

2年前に売上が初めて1000万円を超えましたが、今年の売上は1000万円にはとどきません。消費税の申告は不要でしょうか?

消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付け及び役務の提供です。(外国貨物の輸入を含む。)しかし、小規模事業者の事務負担を軽減するため、その課税期間に係る基準期間(個人事業者の場合はその年の前々年)の課税売上高が1,000万円以下の事業者は原則としてその課税期間の納税義務が免除されることになっています。(特段の届出がある場合を除きます。)
したがって、納税義務が免除されない事業者がその課税期間中に行った資産の譲渡等には消費税を納める義務が生じるので、その年の前々年に課税売上高が1000万円を超えた事業者は、たとえその課税期間の課税売上高が1000円以下であっても、その課税期間の課税売上高に対して適正な税額を計算して消費税を納めなければなりません。

消費税の申告には簡単なやり方(簡易課税制度)があると聞きましたが、どんな方法なのでしょうか。

簡易課税制度は、中小事業者の納税事務負担に配慮する観点から、事業者の選択により、売上げに係る消費税額を基礎として仕入れに係る消費税額を算出することができる制度です。
具体的には、その納税地の所轄税務署長に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した課税事業者は、その基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が5,000万円以下の課税期間について、売上げに係る消費税額に、事業の種類の区分(事業区分)に応じて定められたみなし仕入率を乗じて算出した金額を仕入れに係る消費税額として、売上げに係る消費税額から控除することになります。
簡易課税制度を適用するときの事業区分およびみなし仕入率は、次のとおりです。
事業区分みなし仕入率
第1種事業(卸売業)90%
第2種事業
(小売業、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業に限る))
80%
第3種事業
(農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業)
70%
第4種事業
(第1種事業、第2種事業、第3種事業、第5種事業および第6種事業以外の事業)
60%
第5種事業
(運輸通信業、金融業および保険業、サービス業(飲食店業に該当するものを除く))
50%
第6種事業(不動産業)
40%
簡易課税制度の適用を受けようとする事業者は、その課税期間の初日の前日までに、「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出することにより、簡易課税制度を選択することができます。
なお、簡易課税制度の適用を受けている事業者は、事業を廃止した場合を除き、2年間継続して適用した後でなければ、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出して、その適用をやめることはできません。

アパートの修繕費が今年高額に掛かりましたが、一度に経費には計上できず、減価償却しています。消費税も減価償却した額を課税仕入れに入れるのでしょうか?

消費税の納付税額は、課税期間中の課税売上げに係る消費税額からその課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額(仕入控除税額)を控除して計算します。
ここでは、仕入税額の控除ができる課税仕入れの範囲について説明します。
課税仕入れとは、事業のために他の者から資産の購入や借り受けを行うこと、又は役務の提供を受けることをいいます。ただし、非課税となる取引や給与等の支払は含まれません。
課税仕入れとなる取引には次のようなものがあります。
  1. (1)商品などの棚卸資産の購入
  2. (2)原材料等の購入
  3. (3)機械や建物等のほか、車両や器具備品等の事業用資産の購入又は賃借
  4. (4)広告宣伝費、厚生費、接待交際費、通信費、水道光熱費などの支払
  5. (5)事務用品、消耗品、新聞図書などの購入
  6. (6)修繕費
  7. (7)外注費
したがって、所得税の計算上は、(3)の機械や建物などの取得費は、償却資産として、その購入の対価は全額購入した年の必要経費にはできず、減価償却費として適正にその耐用年数に従って必要経費に計上しますが、消費税の場合、その税額計算上の課税仕入れの時期は、他の者から事業のために役務の提供を受けた時に行うものなので、償却資産の取得費や、かかった修繕費の全額を仕入税額控除とします。

弁護士などに支払う実費弁償金は課税の対象となるのでしょうか?

弁護士の業務に関する報酬又は料金は、弁護士がその業務の遂行に関連して依頼者から支払を受ける一切の金銭をいうものと解されています。
したがって、実費弁償たる宿泊費及び交通費であっても、ホテルや交通機関等への支払が実質的に依頼者による直接払と認められるものでない限り、弁護士の報酬又は料金に含まれ課税の対象となります。
なお、依頼者が本来納付すべきものとされている登録免許税や手数料等に充てるものとして受け取った金銭については、それを報酬又は料金と明確に区分経理している場合は、課税の対象となりません(基通10-1-4(注))。

中古の不動産の物件を購入する際、合わせて未経過固定資産税の支払いが含まれていました。消費税上の取り扱いはどのようにすればいいですか?

不動産売買の際に、売買当事者の合意に基づき固定資産税・都市計画税の未経過分を買主が分担する場合の当該分担金は、地方公共団体に対して納付すべき固定資産税そのものではなく、私人間で行う利益調整のための金銭の授受であり、不動産の譲渡対価の一部を構成するもの(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭)として課税の対象となります(基通10-1-6)。

インボイス制度について教えてください。

令和5年10月1日から、複数税率に対応した消費税額の仕入税額控除の方式として、「適格請求書等保存方式」(いわゆるインボイス制度)が開始されます。適格請求書等保存方式の下では、区分記載請求書に代えて「適格請求書」(いわゆるインボイス等)と帳簿の保存が仕入税額控除の要件となります。
適格請求書とは、売手が買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段であり、一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類するものをいいます。
適格請求書発行事業者となるためには、税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」(以下「登録申請書」といいます。)を提出し、登録を受ける必要があります。

ページトップへ

申告

医療費はどんな経費科目になるのですか?

医療費の支払いは、必要経費にはなりません。しかし、事業者本人か生計を一にする配偶者、親族に対して支払った医療費は一定の金額を医療費控除として、確定申告の際所得控除の対象とすることができます。

小規模共済の掛金が所得控除になると聞きましたが、詳しく教えてください。

独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う小規模企業共済に加入し年間に払った共済掛金の全額が所得控除の対象となります。(但し前納掛金があり、その前納減額金が共済から支払われた場合は、その減額金を控除した後の額が控除額となります。)
節税効果については、こちら

住宅借入金特別控除を受けるためには、どんな手続きが必要ですか?

こちらをご参照ください。

申告期限までに申告書を提出し、納付も完了しましたが、間違いに気付きました。どうしたらいいですか?

法定期限後に誤りが見つかり、申告の内容を変更する場合の手続きは以下のとおりです。
  1. 正しく計算した税額が当初よりも増える場合
  2. 修正申告を行います。(税務署から更正の通知が来る前に手続きしましょう。)正しい申告書を作成し、増加した税額を納付してください。(延滞税等がかかる場合がありますので、申告の見直しはお早めに)
  3. 正しく計算した税額が当初よりも減る場合
  4. 更正の請求を行います。(変更理由の事実を証明する書類を添付し、更正の請求書を提出します。)更正の請求により減少した税額は還付を受けることとなります。還付先口座の記入も行っていただきます。屋号の付かない事業主ご本人の口座を記入して下さい。(なお還付されるまで3ヶ月程度かかるようですので、正しい申告を心掛けましょう)

自宅の1階を飲食店舗として使用していますが、自宅店舗兼用の建物に太陽光発電を設置して発電した電力を自宅及び店舗で使用するほか、余剰電力を電力会社に売却しています。電気使用量メーターは1つしかなく、自宅と店舗の使用量の区別はできません。売却した余剰電力の収入はどのように申告するのですか?

本件設備による余剰電力の売却収入については事業所得の付随収入となります。
給与所得者が自宅に太陽光発電を設置し余剰電力による売却収入を得ている場合、その所得区分は一般に雑所得と解されますが、本件設備により発電した電気は店舗と自宅の両方で使用され、さらにその余剰部分を電力会社に売却しています。
本件設備から発電される電力が現に事業所得を生ずべき業務の用に供されている限り、本件設備は減価償却資産(事業用資産)に該当しますので、その資産からもたらされる収入については、全て事業所得の付随収入とするのが相当です。
この場合、必要経費に算入する減価償却費の額は、発電量のうち売却した電力量以外の割合を店舗と自宅における使用の実態に基づく使用率や使用面積割合等の合理的な基準による店舗の使用割合により按分し、その割合と発電量のうちの売却した電力量の割合の合計を事業用割合として計算することが考えられます。

〔計算例〕

年間発電量……10,000kwh 売却電力量……2,000kwh(20%)
合理的な基準による店舗の使用割合……70%
減価償却費の額を計算する場合の事業用割合……(100%-20%)× 70%+20%= 76%

生命保険契約の満期保険金を受け取りました。何か手続きが必要ですか?

生命保険契約が満期になり満期保険金を受け取った場合には、保険料の負担者、満期保険金の受取人がだれであるかにより、所得税、贈与税のいずれかの課税の対象になります。
(注)一時払養老保険等で保険期間等が5年以下のもの及び保険期間等が5年超で5年以内に解約されたものは除きます。

満期保険金の課税関係の表

保険料の負担者満期保険金受取人税金の種類
AA所得税
AB贈与税

所得税が課税される場合

所得税が課税されるのは、上記1の表のように、保険料の負担者と満期保険金の受取人とが同一人の場合です。この場合の満期保険金は、受取の方法により、一時所得又は雑所得として課税されます。
  1. (1)満期保険金を一時金で受領した場合
  2. 満期保険金を一時金で受領した場合には、一時所得になります。 一時所得の金額は、その満期保険金以外に他の一時所得がないとすれば、受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料又は掛金の額を差し引き、更に一時所得の特別控除50万円を差し引いた金額です。課税の対象になるのは、この金額を更に1/2にした金額です。
  3. (2)満期保険金を年金で受領した場合
  4. 満期保険金を年金で受領した場合には、公的年金等以外の雑所得になります。 雑所得の金額は、その年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料又は掛金の額を差し引いた金額です。
なお、年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます(詳細は、コード1610を参照) ※贈与税が課税される場合は別途税務署にお問い合わせください。

医療費

医療費控除の対象となる医療費はどういったものですか?

  • あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師による施術の対価(ただし疲れを癒したり、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれません。)
  • 病院、診療所、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価
  • 保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話の対価(この中には、家政婦さんに病人の付添いを頼んだ場合の療養上の世話に対する対価も含まれますが、所定の料金以外の心付けなどは除かれます。また、家族や親類縁者に付添いを頼んで付添料の名目でお金を支払っても、医療費控除の対象となる医療費になりません。)
  • 介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額

医療費の領収書は合計が10万円以上にならないと意味がないと聞きましたが、どういうことですか?

医療費控除の対象となる金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)です。
(実際に支払った医療費の合計額 – (1)の金額) – (2)の金額
  1. (1)保険金などで補てんされる金額
  2. (例)生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など (注)保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。
  3. (2)10万円
  4. (注)その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額 したがって、その年に支払った医療費の合計額が10万円未満であっても、一概に医療費控除が受けられないとはいえませんので、領収証などは大切に保管しましょう。

参考)

「総所得金額等」とは、純損失、雑損失、その他各種損失の繰越控除後の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額及び退職所得金額の合計額をいいます。

参考)

「合計所得金額」とは、純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失及び特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除を適用する前の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額、退職所得金額の合計額をいいます。 配偶者控除、配偶者特別控除の判定は配偶者の合計所得金額により判定

医療費を補填する保険金等の額が、確定申告書を提出する時までに確定しません。医療費控除の計算はどのようにすればいいですか?

医療費を補填する保険金の額が確定していない場合
医療費を補填する保険金等の額が、医療費を支払った年分の確定申告書を提出する時までに確定しない場合には、補填される保険金等の見込み額に基づいて計算します。尚、後日補填される保険金等の確定額と当初の見込み額とが異なることとなったときは、その医療費控除額を訂正してください。

人間ドッグや健康診断は、医療費控除の対象となりますか?

健康診断等の費用は、疾病の治療を行うものではないので、原則として医療費控除の対象とはなりません。
しかし、健康診断等の結果、重大な疾病が発見され、かつ、その診断等に引き続きその疾病の治療を行った場合には、その健康診断等は治療に先立って行われる診察と同様に考えることができますので、その健康診断等のための費用も医療費控除の対象になります。

眼科医に支払った医療費のうち、医療費控除の対象となるのはどれですか?

次の例をみてみましょう。
  1. 視力回復レーザー手術(レーシック手術)の費用
  2. オルソケラトロジー治療(角膜矯正療法)の費用
  3. 眼鏡の購入費用
  1. 視力回復レーザー手術(レーシック手術)とは、角膜にレーザーを照射して近視や乱視などを治療し、視力を矯正する手術のことです。
  2. この手術は、眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させるものであり、それに係る費用は、医師の診療又は治療の対価と認められますので、医療費控除の対象となります。
  3. オルソケラトロジー治療(角膜矯正療法)とは、近視などの角膜の屈折異常を特殊なコンタクトレンズを装用することにより、屈折率を正常化させて視力の回復をさせるものです。
  4. この治療も、眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させるものであり、それに係る費用は、医師の診療又は治療の対価と認められます。
  5. 近視や遠視などのために日常生活の必要性に基づき購入されるものは、視力を回復させる治療の対価ではないので、医療費控除の対象とはなりません。
  6. しかし、例えば、斜視、白内障、緑内障などで手術後の機能回復のため短期間装用するものや、幼児の未発達視力を向上させるために装着を要するための眼鏡などで、治療のために必要な眼鏡として医師の指示で装用するものは、医師による治療の一環として直接必要な費用ですので、医療費控除の対象となります。

歯の治療に伴う一般的な治療の費用は医療費控除の対象となるのでしょうか?例えば金の詰め物をした場合、かなり高額の医療費となりますが、これも対象となるのですか?

歯の治療については、保険のきかないいわゆる自由診療によるものや、高価な材料を使用する場合などがあり治療代がかなり高額になることがあります。このような場合、一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なものは医療費控除の対象になりません。現在、金やポーセレンは歯の治療材料として一般的に使用されているといえますから、これらを使った治療の対価は、医療費控除の対象になります。
歯科ローンは、患者が支払うべき治療費を信販会社が立替払をして、その立替分を患者が分割で信販会社に返済していくものです。したがって、信販会社が立替払をした金額は、その患者のその立替払をした年(歯科ローン契約が成立した時)の医療費控除の対象になります。なお、歯科ローンを利用した場合には、患者の手もとに歯科医の領収書がないことが考えられますが、この場合には、医療費控除を受けるときの添付書類として、歯科ローンの契約書の写しや信販会社の領収書を用意してください。(注)金利及び手数料相当分は医療費控除の対象になりませんからご注意ください。

配偶者・扶養控除

私の夫は本年6月に死亡しました。その後は給与所得者の息子と同居しています。私は夫が死亡した際の準確定申告で配偶者控除の対象になりました。現在私は非課税の遺族年金の収入しかありませんが、本年末の息子の年末調整において扶養控除の対象になりますか?

納税者の控除対象配偶者又は扶養親族に該当するかどうかの判定は、その年の12月31日の現況によることとされていますが、その納税者が年の途中で死亡又は出国した場合は、その死亡又は出国の時の現況により判定することとされています。
また、12月31日の現況において、ある一人の者を対象として複数の納税者が重ねて配偶者控除や扶養控除を受けることはできません。
しかし、年の途中で死亡又は出国した納税者の控除対象配偶者又は控除対象扶養親族に該当した人であっても、その後その年中において相続人等他の納税者の控除対象配偶者又は控除対象扶養親族に該当する場合は、その納税者の控除対象配偶者又は控除対象扶養親族として控除の対象となることができます。
したがって、あなたは、ご主人の死亡時の年末調整においては配偶者控除の対象となり、また、息子さんの年末調整において扶養控除の対象となることができます。

息子がいますが、学生寮に住居を移しており同居していません。アルバイトはしているようですが、年間30万ほどしか収入がなく、学費・生活費はみな仕送りしています。この息子は扶養にいれられますか?

「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要件とするものではありません。例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

その他

収入 店舗として賃借している家屋の立退き要請があり、立退料を収受しました。これは確定申告の際、どういった所得になるのでしょうか?

店舗や事務所などを借りている個人が、その事務所などを明渡して立退料を受け取った場合には所得税がかかります。
立退料は、その中身から次の三つの性格に区分され、それぞれその所得区分は次のとおりとなります。
  1. 1資産の消滅の対価補償としての性格のもの
  2. 家屋の明渡しによって消滅する権利の対価の額に相当する金額 → 譲渡所得の収入金額となります。
  3. 2移転費用の補償金としての性格のもの
  4. 立ち退きに当たって必要となる移転費用の補償としての金額 → 譲渡所得の収入金額となります。
  5. 3収益補償的な性格のもの
  6. 立ち退きに伴って、その家屋で行っていた事業の休業又は廃業による営業上の収益の補償のための金額 → 事業所得の収入金額はとなります。

損失の繰越し 昨年暮れにマイホームを売却し、損失がでました。事業所得で出た損失と同様に繰越が可能でしょうか?

土地建物等を譲渡して譲渡損失の金額が生じた場合、原則として、その損失の金額を土地建物等以外の資産の譲渡所得の金額や他の各種所得の金額と損益通算することはできません。 ただし、一定のマイホームの譲渡による譲渡損失の金額については、土地建物等以外の資産の譲渡所得の金額や他の各種所得の金額と損益通算することができ、これらの通算を行ってもなお控除しきれない損失の金額は、 その譲渡の年の翌年以後3年間にわたり繰り越して控除することができる特例があります。これを、マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例といいます。

適用要件

  1. マイホームの売却であること
  2. 以前に住んでいたマイホームの場合には、住まなくなってから3年目の12月31日までに売却していること。なおこの譲渡には、親族への譲渡は除外されます。
  3. 譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超える資産の譲渡であること。
  4. 譲渡の年の前年の1月1日から翌年の12月31日までに家屋の床面積が50㎡以上のであるものの取得であること。
  5. 買替資産を取得した年の12月31日までの間に居住の用に供すること、あるいは見込みであること。

手続きは以下のとおり

  1. 「居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)」
  2. 「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書(租税特別措置法第41条の5用)」
  3. 旧居宅に関する次の書類